オンプレミスからAWSのクラウド環境への移行を考える
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オンプレミスからAWSのクラウド環境への移行を考える【4】 移行先としてのAWSと移行で活用したいサービス

AWSのクラウド環境への移行で必要な考え方、事前準備や移行時の注意点などをお伝えする「オンプレミスからAWSのクラウド環境への移行を考える」の連載です。
前回の「移行本番の切り替え」では移行の本番で必要な手順やTIPSについて触れました。最終回の今回は「移行先としてのAWSと移行時に活用したいサービス」に触れていきます。

本連載ではオンプレミスの移行先の一つとしてAWSをご紹介してきましたが、オンプレミス環境の移行先をAWSにするのがよいかどうか迷われる方も多いと思います。今回は移行先としてみた場合のAWSが持つ優位性について触れつつ、AWSへの移行時に活用できるサービスをいくつかご紹介いたします。

移行先としてのAWS

ここではオンプレミス環境からAWSへシステムを移行するとき、特にオンプレミス環境と比較した場合に優位になる点をいくつか挙げてみることにします。

グローバルインフラストラクチャとセキュリティ

AWSは全世界に18個の地理的リージョンと1つのローカルリージョンにある55個のアベイラビリティゾーンを有しています。(2018年9月時点)
AWSのリージョンは低レイテンシー、高いスループット、そして高度の冗長ネットワークで接続されている複数の物理的に独立・隔離されたアベイラビリティゾーンが用意されていますので、基盤全体で見たときには、高い可用性と耐障害性を実現しています。
また、セキュリティ面でも、ISOやSOCを初めとした数多くの第三者監査によるセキュリティやコンプライアンスについての検証が実施されています。
AWSを利用するということは、高い可用性と耐障害性、そしてセキュリティ対策が施された環境を莫大な初期投資をしないでも使えるということでもあります。

継続的な値下げ

AWSはサービスを開始してから過去10年間で60回以上の値下げを実施した実績があります。AWSサービスの利用拡大に伴い、AWS自体に規模のメリットによるコスト優位性が生じることが一つの理由として挙げられますが、AWSはこの利益を値下げという形で顧客に還元します。サービスを利用する側としては利用を継続するだけで適正なランニングコストが維持されるともいえます。加えて使っているリソースが値下げされることもあるでしょうから、長期的に見ればランニングコストが低減していく恩恵を受けられるかもしれません。

AWSサービスの拡張と機能改善

AWSはこれまで90を超えるサービスを提供しています。仮想サーバーなどのコンピューティング領域にとどまらず、今ではIoTやデータ解析などの領域も含めたITインフラの幅広い分野でサービスを提供しています。例えば2017年に行った機能改善は1430回にも及びます。また、そのうち90%以上は利用者からのフィードバックに基づく実装ということです。サービスの豊富さと拡充されるスピードの速さは他社クラウドと比較しても全く引けを取りません。

ここまで、オンプレミス環境からの移行先としてAWSの優位な点をいくつか挙げさせていただきました。今回は3点ほど挙げる形を取りましたが、実際にオンプレミス環境の移行を検討する際には、AWSは移行先の第一候補としてぜひ含めていただきたいところです。

以下も合わせて参考にしていただきたい情報です。
AWSのクラウドが選ばれる10の理由

では次に、実際に移行作業を行うときに活用できるAWSの移行サービスとツールについてご紹介します。

オンプレミスからAWSへの移行時に活用したいサービスとツール

ここではオンプレミス環境からAWSへの移行を行う場合に活用したいAWSのサービスをいくつかご紹介いたします。
 

仮想マシンの移行

VM Import/Export

VM Import/Exportを使うとオンプレミスの仮想マシンイメージをEC2に移行することができます。移行に際して大きな変更を加える必要が無い点は魅力的ですが、利用できる仮想化ソフトウェアやOSは限定されていることに注意が必要です。移行元のオンプレミスで稼働しているシステムと要件が合致しているか確認する必要があります。

VM Import/Export

AWS Server Migration Service

AWS Server Migration Serviceを利用するとVMware vSphere または Microsoft Hyper-V/SCVMM上で動いている仮想マシンをAWSに移行することができます。オンプレミスの仮想化環境にAWS Server Migration Service Connectorを導入して、AWS Server Migration Service Connector経由でAWS環境に仮想マシンのデータを転送します。こちらもVM  Import/Export同様、移行要件が合致しているかどうかはしっかりと確認する必要があるでしょう。自社で対応が難しい場合には同ツールを使ったソリューションを提供しているAWSのパートナーに依頼して進めることを考えてみても良いかもしれません。

AWS Server Migration Service
 

大容量データの転送

ネットワーク経由のデータ転送

移行作業時は、データの転送を考えるとセキュリティが担保されたネットワークが必要です。AWSではインターネット経由の通信はもちろん、インターネットVPN、専用線(AWS Direct Connect)を利用することが可能です。インターネット経由でのデータ転送にセキュリティ面などから制約がある場合、リードタイムとコストを理由として、インターネットVPN経由でのデータ転送が採用されることが比較的多いですが、回線のセキュリティと通信品質を重視する場合はAWS Direct Connectを利用することになるでしょう。

AWS Direct Connect

AWS Snowball

移行作業では、大容量のデータをAWSに転送させないといけないケースもあるでしょう。例えば、ネットワーク越しに数十TBのデータを移行する必要があったとしたら、データ転送だけで相当の時間がかかります。AWS Snowballはそんなときに利用を考えたいサービスです。AWS Snowballは大容量の物理デバイスを利用した、データの配送サービスです。AWSからデータを移行するためのSnowballデバイスが送られてくるので、このSnowballデバイスにオンプレミス環境のデータを転送したのち、AWSにSnowballデバイスを配送します。AWS側でのデータインポートが完了すると、Snowballデバイスに保存したデータは、オブジェクトストレージであるS3に格納されます。Snowballデバイスには10GBaseT ネットワーク接続が同梱されているため、大量のデータもすばやく転送することができます。また、Snowballデバイスは耐障害性やセキュリティ面でも考慮されており、データ配送上のリスクも考慮された設計になっています。

AWS Snowball
 

データベースデータの移行

AWS Database Migration Service

データベースのデータを移行する場合に活用したいのがAWS Database Migration Serviceです。これはデータベース間のインポート・エクスポート、同期を実現するものです。これは異なるDBエンジン間のデータ移行にも対応しています。例えばMicrosoft SQL Server から MySQLのような移行にも活用可能です。多彩なソース、ターゲットエンドポイント指定が可能なため、活用の仕方次第では柔軟な移行計画が立てられそうです。

異なるDBエンジン間のデータ移行はAWS Schema Conversion Tool(AWS SCT)を合わせて使っていくことになるでしょう。ただ、全てが完全に移行できるとは限りませんので、基本的には事前に検証の上で作業計画を立てる必要があるでしょう。

AWS Database Migration Service
 

ここではオンプレミス環境からAWSへの移行を行う際に活用したいサービスをいくつかご紹介いたしました。

オンプレミス環境からAWSへの移行を考えたとき、全てをAWSに移行してしまう、というのが理想ではあります。しかし、環境によっては、運用レベルから、移行作業に必要な停止時間を確保できない、などの理由で、AWSに全てを移行するのが難しいケースもあります。この場合はオンプレミス環境に一部を残し、AWSとのハイブリッド環境を志向するのが解決策になるかもしれません。

AWSへの移行は運用や管理の負担が大きいものから行い、手間を減らすことから始めることがおすすめです。運用の時間を最小化し、新しい技術の検証や開発への注力など本来の事業に貢献できる部分に時間をあてることができるようになるでしょう。
オンプレミスからAWSへの移行を全4回の連載でお届けしましたが、本連載がみなさまのAWS移行への一助となれれば幸いです。

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