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クラウド型ロードバランサーの仕組みとメリット・デメリット

インターネットを中心としたビジネスを行っている企業にとって最も避けなければならないトラブルとして、アクセスの集中により予期せぬシステムダウンが発生したり、サーバー故障が原因としたサービス断などのシステム停止関連が挙げられます。システム停止が起こった場合、販売・課金機会の損失や、サービス及び運営企業への信頼性の低下など様々な影響が起こることが考えられるため、アクシデント発生時の運用停止時間をできる限り短く抑えることや早期復旧を行うための日頃からの整備が企業に求められています。

その対策の1つとして、「ロードバランサー」を導入したサーバーの負荷分散を行うという手段があります。今回は「ロードバランサー」とは何なのかについてご紹介させていただきまます。

ロードバランサーとは

ロードバランサー(loadbalancer / 負荷分散装置)とは英語の「Load(負荷)」+「Balancer(釣り合いをとるためのもの)」が由来となっている、外部からの通信(トラフィック)をアルゴリズムによって複数のサーバーに分散する仕組みを提供する装置です。サービスへの同時アクセスを集約し、システムに対するリクエストを複数のサーバーに分散させることでリソースに余裕のある他のサーバーを自動的に接続先として選択するなど、1つのサーバーにかかる負担を軽減しアクセスの安定性を向上させたり、サービスのシステム停止を未然に防止することができます。

ロードバランサーを導入することで具体的に以下の要件を実現することが可能です。

1.スケーラビリティ(拡張性)

ロードバランサー設定で分散対象のサーバー台数を増やすことによって、ウェブアクセス集中などの利用負荷によるリソース不足が発生した場合、容易に拡張ができるようになります。

2.アベイラビリティ(可用性)

アベイラビリティとは「システムの止まりにくさ」を表し、アベイラビリティの高いシステムには故障が発生した場合もサービスは稼働し続け、メンテナンスや修理もサービス停止をせずに行える機能が備わっています。
ロードバランサーには死活監視(ヘルスチェック)の機能がついており、分散先のサーバーが正常に稼働しているか否かのヘルスチェックを常時行い、異常があると判断した場合は、自動的に分散対象から外します。そのため障害が発生してもサービスは停止しません。
また、障害やメンテナンス時もロードバランサーの分散対象からサーバーを外して行うことでサービス自体は稼働したまま作業が行えます。

DNSラウンドロビン(ご参考)

余談ですが負荷分散の手段としてロードバランサーだけではなく「DNSラウンドロビン」という方法もあります。これはDNSサーバーの機能を使って、1つのFQDN(ドメイン名)に複数のIPアドレスを割り当てる負荷分散技術です。クライアントからホストへのアクセス要求に対してDNSサーバーに設定された複数のIPアドレスが順番で応答していくことで負荷分散をおこないます。
DNSサーバーの設定ファイル(ゾーン情報)に設定を書き込む方法で、ロードバランサーより簡易的で安価に取り入れることができます。しかし、同じクライアントからの通信を同じサーバーに転送し続けるという、同一セッションの継続性を実現できない。また、サーバーの故障を検知できないなどのデメリットも挙げられます。

ロードバランサーの種類

ロードバランサーには機器を構成する位置により2種類に分類することができます。

1.One-Arm(ワンアーム構成)

クライアントとサーバー、ロードバランサーが同一の通信経路に接続されている構成方法です。クライアントとサーバー同士で直接的に通信を行うことができ、これに対しロードバランサーが枝分かれした経路に横付けの形で接続されているので、行きのパケットは「クライアント ⇒ ロードバランサ ー⇒ サーバー」、戻りのパケットは「サーバー ⇒ クライアント」という通信経路になっています。横付けのためロードバランサーがボトルネックにならないというメリットの反面、通信経路が複雑なので把握しづらいというデメリットが挙げられます。

2.Two-Arm(インライン構成)

インライン構成は「inline」のという意味の通り、クライアント・ロードバランサー・サーバーが列をなしている構成です。クライアントとサーバーの間に仮想IPアドレスを設定したロードバランサーを配置し、受け取ったアクセスをすべて集約してから各サーバーに割り振ります。構成がシンプルでわかりやすいのがメリットですが、ロードバランサー自体を冗長化しないと機器の障害対応ができないということが難点です。またインライン構成で負荷分散を行なう方法にはIPアドレスやポート番号を利用する方法の「L4」とURLなどを参照する方法「L7」の2種類があります。

クラウド型ロードバランサーのメリット・デメリット

今までのロードバランサーではハードウェア型が主流とされてきましたが、インフラのクラウド化が急速に発展してきているためクラウド型ロードバランサーを導入する企業様も増えてきています。クラウド型のメリットやデメリットは以下の通りです。

メリット1. 柔軟性

ハードウェア型の場合トラフィック量の急な増減へのスムーズな対応が難しく、ピーク時のトラフィック量が予測を超えた場合のリソース不足やリソースの過剰投資など様々なリスクが発生します。できる限りコストを抑えながらもトラフィック量の変化に柔軟に対応するために、手軽にリソースを追加できる柔軟性の高いクラウド型の需要が高まってきています。

メリット2. コスト削減

必要なときに必要な分だけリソースを購入できるので過剰投資を避け、低コストで運用が望めます。またハードウェア型を利用する場合に発生する追加製品の発注・構築・設定などの長いリードタイムやそれらに関わってる人件費なども合わせて削減することも可能です。

次にデメリットです。

デメリット1. 安全性

ネットワーク上のサーバーに設置されているクラウド型には自社で購入から管理までを行うハードウェア型よりもセキュリティ面で不安が残るという意見もあります。もちろん、ほとんどのベンダーがセキュリティについて最新且つ万全の対策を行っているとは思いますが、対策内容について複数のベンダー間で確認・比較することをオススメいたします。

新たにハードウェア型ロードバランサーの購入を検討していたり、コストや負担をできる限り抑えたいと考えている企業様は是非クラウド型ロードバランサーの導入をご検討ください。

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