現在、企業にとって不可欠となっているITの仕組み。昔は社員が1人1台PCを持つことさえ珍しかったものが、今やそれが当たり前となっただけではなく、何かしらのITシステムを導入していることも多くなってきました。10年経過すれば、その時に最新だった技術は陳腐化し、新しいIT技術が登場してきます。
クラウドも新しいIT技術の1つです。新しい技術に乗り換えるためには、古いものを新しいプラットフォームへ移行していく必要があります。そこで今回は、新しい技術であるクラウドと従来の仕組みとなるオンプレミスを比較し、クラウドへ移行するメリットやデメリットを考えてみたいと思います。
「流行っているから」という安易な考えで意思決定をするのではなく、メリットやデメリットを理解して意思決定の根拠を持ちましょう。そうすることにより何かに迷った時の判断基準となり、事業をスムーズに前に進めていくことにもつながっていきます。
クラウドとオンプレミスとは?概要を比較
クラウドという考えに触れていると、必ず登場してくる言葉があります。それが「オンプレミス」という言葉です。ここではオンプレミスについて詳しくご説明するとともに、クラウドと比較していきます。
オンプレミスとは?
オンプレミスは、英語で書くと「on-premises」となりますが、言葉の意味はシステムを構築するためのサーバーなどの機器を、自社内で保有・運用することを言います。クラウドという概念が登場する前、ITシステムを構築するためには、自社内に場所を確保し、サーバーを設置するためのラックを組み立て、そのラックにサーバーやNW機器であるスイッチやルーターを設置する必要がありました。
クラウドとは?
「クラウド」とは、クラウドベンダーが提供しているITリソースをネットワーク越しに利用する形態です。オンプレミスと大きく異なりシステムを構成するラックやIT機器、ネットワーク回線、アプリケーションなどを自社で保有する必要がなくなります。
具体的には、ベンダーが用意した物理サーバーから「仮想化」の技術で複数の仮想サーバーを作成する仕組みです。ユーザーは、ベンダーから提供されたウェブ上の管理ページでCPUやメモリ、ディスク、サーバーOSなど必要な分のリソースを選択し、作成を実行すると自動で仮想サーバーができあがります。ユーザーは即日サーバー構築に入ることもできます。
クラウドとオンプレミスのメリットとは?
クラウドはオンプレミスよりも後から登場してきたIT技術になりますが、全てクラウドが優れているとは限りません。オンプレミスとクラウドはそれぞれ良い面を持っています。それぞれどのようなメリットがあるのか確認していきましょう。
オンプレミスのメリット
オンプレミスのメリットとして大きく2点を挙げて説明します。
【1. カスタマイズの自由度が高い】
オンプレミスの形態では、サーバーなどのIT機器を自社で保有・運用・保守することになります。そのため、社内ルールなどの制約が無ければ、何かに縛られることなく、必要な機能を追加したり、サーバー設定も要件によって自由に変えていける環境が整っています。また、自社独自のシステム等との連携も容易に行えます。
クラウド運用では、クラウドベンダーが提示するサービス仕様により機能が制限がされてシステム要件に合わない場合も出てきます。
【2. データの所在が明確】
社内の機密情報や個人情報などデータの所在を把握しておく必要がある場合、オンプレミスの運用ではデータの所在を明確にできます。
クラウドのメリット
それでは、クラウドのメリットとして大きく2点を挙げて説明します。
【1. スピード性】
クラウドは短期間でサーバーの準備できるため、ビジネスのスピードを飛躍的に向上することができます。これまでのオンプレミスでは、サーバーを購入する手続きから始まり、ラックへの設置、初期設定、ネットワーク設定などが終わってはじめて、サーバーの構築が完了します。サーバーの調達にも時間がかかるため、サーバー構築までに2,3ヶ月かかることは珍しくありません。一方、クラウドでは事前にそろえる機器が不要となります。サーバーが必要となった時点で、ウェブ上の管理画面から即時仮想サーバーを作りサーバー構築に着手することができます。
【2. 初期費用がかからない】
クラウドは、オンプレミスのように導入に伴う、IT機器、ソフトウエア、ネットワーク回線、ラックなどの購入が発生しないため、初期投資を安く抑えることができます。またクラウドは従量制の料金体系のサービスが多く、課金は利用した時間のみとなるので、使用量が少ない場合は、コスト削減に繋がります。また、ハードウェア機器の管理も必要なくなるため、維持費もなくなります。
クラウドとオンプレミスどちらを選択するべきか
オンプレミスには、自社内にサーバーを保有しているからこそのメリットがあり、クラウドには他社のサーバーを利用しているからこそ得られるメリットがあります。企業が属している業種や事業の特性、システム要件、要求されるセキュリティ担保のレベルなど、様々な要素を総合的に見ながら、クラウドへ移行するか、オンプレミスのまま運用を続けるのか判断していきましょう。
オンプレミスからクラウドへの移行にアウトソースを使う
オンプレミスからクラウドへ移行を考える時、実際どのサービスが必要で何が足りないのか、費用はいくらかかるのかなど、何からはじめてよいかわからないという場合は、クラウドが得意なパートナーへアウトソースする方法もあります。
当社では経験豊富なエンジニアがお客様のインフラ課題や運用状況、コストにあわせてクラウドでの運用方法を提案させていただきます。
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