今日、クラウドを検討・導入する企業は増加傾向にありますが、世界中のクラウドベンダーから様々な特色のサービスが提供されています。
Gartner, Inc.の調査によると2019年度のIaaSシェア率ランキングトップ3は以下の通りとなっています。
1位:AWS(Amazon Web Service)45%
2位:Microsoft Azure 17.9%
3位:Alibaba Cloud 9.1%
2019年度IaaSシェア率ランキング
(出典元:Gartner Says Worldwide IaaS Public Cloud Services Market Grew 37.3% in 2019)
今回は上位3つのクラウドそれぞれの人気の理由を独自の目線から考察したいと思います。
AWS(Amazon Web Service)【世界シェア率1位】
2006年7月より提供開始された「AWS」(Amazon Web Service)はAmazon.com社が運営する世界シェア第1位のクラウドコンピューティングサービスです。国内外で様々なクラウドサービスが存在している中でも圧倒的な存在感を示しており、恐らくIT関連の勉強や業務を行ったことがある方であれば、AWSというサービス名は誰しも聞いたことがあると思います。世界の約45%のシェア率ということもあり、現在もIaaS市場を最先端でリードし続けています。
AWS が選ばれる3つの理由
1.世界規模のネームバリュー
Synergy Research Groupの調査で、AWSはIaaS・PaaS・ホステッドプライベートクラウドを合計した、クラウド市場全体の世界シェア率でも約33%で第1位となっています。世界中で最も利用されているクラウドサービス=安心して利用できるサービスという認識は持たれやすいかもしれません。また、誰しも一度は利用したことあるであろうEコマースにおける世界的なリーディングカンパニーの「Amazon.com」が提供しているクラウドサービスというブランド力も人気の理由になっていると思います。
2.膨大な提供サービスと最先端技術の採用
AWSでは200種類以上のサービスを提供しており、2020 年には 2,757 回のリリースが実施されています。また現在も新規サービスのリリースや機能の追加、アップデートが行われています。その中から使いたいものだけを選択して利用することができるので、柔軟性の高いサービスの構築が可能となるでしょう。また、リージョンも多数あるため国や地域など環境に関わらずいつでも最先端の技術を導入できるのも魅力の一つです。
3.強固なセキュリティ対策
AWS はグローバル認証規格であるISO 27001 認証や、Payment Card Industryデータセキュリティ基準(DSS)のレベル1サービスプロバイダとして第三者機関よりチェックが行われていますので、ハイレベルなセキュリティを常に確保しています。セキュアなシステムを構築し、様々なセキュリティ対策を行っているので安心して企業内の情報管理に利用することができます。
Microsoft Azure【世界シェア率2位】
「Microsoft Azure」はマイクロソフト社が提供する、AWSの次にシェア率の高い人気のクラウドサービスです。2008年10月にマイクロソフト社のデベロッパーカンファレンスでリリースの発表がされ、その2年後の2010年10月にWindows Azureとしてサービススタート、そして2014年にMicrosoft Azureに名称が変更されています。
Microsoft Azureが選ばれている理由は以下の通りです。
Microsoft Azure が選ばれる3つの理由
1.Microsoft社製の製品との連携が可能
Microsoft Azureは、WindowsやOffice、Skypeなど誰しもが利用したことがあるMicrosoft社の製品と連携することが可能です。WordやExcelといったOffice365の基盤としてMicrosoft Azureと連携させることでOffice365のパフォーマンスとセキュリティをさらに向上させることができます。
2.リージョン数の豊富さ
Microsoft Azureは世界の国・地域に54か所のデータセンターを運営しています。(日本国内では東日本と西日本の2か所)いずれのリージョンも米国政府機関に認められている強固なセキュリティレベルで運用されおり、ISO 27018の取得や、国際機関の定めるセキュリティ基準もクリアしているためセキュリティレベルについても問題ないでしょう。リージョン数が多いため、国や地域の影響を受けずにサービスを利用することができます。
3.ハイブリッドなサーバー構成が簡単に実現可能
クラウド化が促されている現在ですが、最近はハイブリッドクラウドの採用も増えてきました。オンプレミスでWindowsサーバーなどMicrosoft社の製品を利用している場合、Microsoft Azureを導入すればスムーズにハイブリッドな環境を構築しやすくなります。理由①でも紹介させていただきましたがMicrosoft AzureはMicrosoft社の製品と親和性が高いのでハイブリッドクラウド向きといえるでしょう。
Alibaba Cloud【世界シェア率3位】
最後に取り上げるのは、現在IaaS市場の売上高シェアで第3位のポジションを獲得するなど急成長を遂げているクラウドサービス「Alibaba Cloud」です。中国最大のECサイト「天猫」や「淘宝」、電子決済ツール「Alipay」、のシェアバイク「ofo」など世界的にも有名なサービスを提供しているアリババグループが運営するパブリッククラウドサービスです。毎年11月11日(通称「独身の日」)は中国全土でネット通販のセールが大々的に行われて大きな盛り上がりを見せる日ですが、アリババクラウドはそのプラットフォームを運営し、膨大なアクセス数にも耐えうる環境を提供しています。
日本ではソフトバンクグループの「SBクラウド」がAlibaba Cloudを展開しています。
Alibaba Cloud が選ばれる3つの理由
1.独自のAIプラットフォーム
アリババグループでは多くのサービスを提供しています。その中で得られた大量のデータを独自開発のAI機能で分析し、各種サービスの改善やAIプラットフォームの強化に活用されています。現在、AIが世界的に急速に発展していく中でAIに強いAlibaba Cloudの存在は今後さらに大きくなるでしょう。
2.企業のアジア進出の増加
アジア太平洋地域内でのIaaS市場調査ではAlibaba Cloudがダントツでシェア率第1位を誇っています。中国にある8つのデータセンターを中心にマレーシアやインドネシア、日本、インドなどアジア全域へ拡大しています。多くの日本企業も中国や東南アジアに進出を希望する場合、かなりの高確率でAlibaba Cloudを選択するようです。企業のアジア進出の増加とアジアに強いクラウドというのがマッチしているのが選ばれる理由の1つなのかもしれません。
3.セキュリティ技術の充実性
アジアを中心に世界最大クラスの普及率となっている電子決済ツール「Alipay」を運営するための強固なセキュリティ対策も評価されています。また中国の約4割のシステムがAlibaba Cloud上で稼働され、自社セキュリティ製品も相当な企業数に提供されています。実績の件からも分かるように、Alibaba Cloudを利用することでセキュリティトラブルの心配も削減できるでしょう。
今回は2019年度IaaSシェア率ベスト3について支持されている理由をご説明いたしました。
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