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Webサービスへのアクセス集中、AWSを活用した対処方法とは?

Webサービスを運営する中でよく問題になるのが、予期せぬアクセス数の急増による遅延や停止の発生です。この突発的なアクセスの集中によりサーバーの処理が追い付かなくなり、場合によってはWebサービスを提供する企業のビジネスに損害をもたらすことも考えられます。クラウド上でアクセス集中があっても柔軟に対処できるようにするには、どんな方法が有効なのでしょうか。国内で最も利用されているAmazon Web Services(AWS)を例に紹介します。

アクセス急増によるWebサービスの遅延・停止が招く弊害とは

人気商品のキャンペーン、あるいはテレビなどのメディアやSNSで紹介された直後など、Webサーバーへのアクセス集中により、Webサービスが遅延したり停止したりといった障害が発生することがあります。
このようなアクセス集中によるWebサービスの遅延・停止という課題を解決するために、Webサーバーをクラウドへ移行する企業が増えています。

ただし、クラウドへ移行しさえすれば、アクセス集中が発生した際にWebサービスの遅延・停止を自動的に回避できるわけではありません。クラウドで提供されている複数のサービスを組み合わせ、アクセス集中に対応できるようにあらかじめ準備しておく必要があります。それを行わずに、単にWebサーバーをオンプレミスからクラウドへ移しただけでは、アクセス集中によるWebサービスの遅延・停止を繰り返すことになってしまいます。
では、アクセス集中に効果的に対応するには、どのようなサービスを利用すればよいのでしょうか。

Webサービス障害の回避に役立つAWSとは

AWSを利用するにあたり、まず検討すべきは「design for failure」という思想をもとにしたシステムの構築です。design for failureを簡単に言えば、「障害を見据えた設計にしよう」という考え方です。AWSに限った話ではありませんが、障害の起きないインフラはありません。AWSなどのクラウドでは何らかの障害が起きる前提のもと、インフラまたはサービスの迅速な復旧、必要に応じた動的なコンピューティングリソースの獲得など、有事の際でもシステムが稼働し続けられるような高可用性とリカバリ性能を備えたアーキテクチャを採用するのが重要です。

AWS Well-Architected

そこで参考にしたいのが「AWS Well-Architected」と呼ばれるフレームワークです。これは、AWS上に安全性・性能・障害耐性・効率性を備えたシステム基盤を構築するためのベストプラクティスをまとめたものです。Webサービスを提供するWebサーバーをAWS上に構築する際には、事前にこのフレームワークを取り入れてアーキテクチャを評価するところから始めます。AWSではフレームワークに適合しているかどうかを検査・評価する「AWS Well-Architected Tool」が提供されているので、AWSを利用する際にはこのツールを使うことをお勧めします。
次に、AWSが提供しているアクセス集中に効果的なサービスを紹介します。

Elastic Load Balancing(ELB)

まず、ロードバランシングサービスの「Elastic Load Balancing(ELB)」を紹介します。これは、ネットワークを流れるトラフィックが一部のサーバーに集中しないように、複数のサーバーへ自動的に分散する役割を果たすものであり、アプリケーションの可用性と耐障害性の向上を実現します。
また、Webサービスを提供するサーバーの数をコントロールできるのが「AWS Auto Scaling」というサービスです。このサービスを利用すると、アクセス数の状況に応じてサーバーの数を自動的に増減できるようになります。つまり、普段はサーバーの数を減らしてコストを抑え、アクセス集中があったときにはサーバーの数を増やしてサービス提供を継続するという働きをします。加えて、ELBとAWS Auto Scalingを併用することで、サーバーが稼働するアベイラビリティーゾーンを分散させることができ、サービスの可用性を高めることが可能になります。

Amazon Route53

アクセス集中によるDNS(Domain Name System)サービス停止を回避するなど、高可用性を実現するうえで重要となるのが、AWSが提供するDNSサービス「Amazon Route53」です。Amazon Route53は、高い可用性と信頼性を兼ね備えたインフラストラクチャを採用し、構築されているのが特長です。通常のDNSでは、マスター/スレーブ構成という2台での冗長構成がよく見られますが、Amazon Route53では、リージョンが異なる4つのネームサーバーでの冗長構成が取られています。そのため自社のDNSをAmazon Route53に切り替えることで、可用性と信頼性の向上が期待できます。さらに信頼性の高さゆえに、SLA(Service Level Agreement:サービス品質契約)を100%保証しているのもポイントです。

Amazon CloudFront

もう一つ、とくに静的コンテンツが中心のWebサービスに有効なのが、AWSが提供するCDN(Content Delivery Network:コンテンツ配信ネットワーク)サービス「Amazon CloudFront」の活用です。このサービスは、グローバルに展開するエッジロケーションを介して、コンテンツを高速かつ安定的に配信するというものです。一時的にアクセスが急増しても、それぞれのキャッシュサーバーが処理を行うため、Webサーバーの負担軽減が可能になり、ユーザーエクスペリエンスの向上、システムの信頼性の確保、セキュリティの向上が実現します。
関連記事:Amazon CloudFrontとは?メリットや料金、S3と組み合わせて使う方法

アクセス課題の解決にNHNテコラスが寄与

このようなAWS上でのWebサービスへのアクセス集中による遅延・停止を回避するシステムインテグレーションを得意としているのが、NHNテコラスです。

NHNテコラスはAWSの公式パートナーであり、AWS上での優れたアーキテクチャ設計方法を確立し、リスク削減やアプリケーション、ワークロードに影響を与える変更に対して迅速に対応可能なパートナーを認定する「AWS Well-Architectedパートナープログラム」の認定を取得しています。そのためAWSのベストプラクティスに沿ったインフラストラクチャ最適化の提案ができるインフラエンジニアが多数在籍しており、AWSのコンサルティング/アセスメントから実際のサービス構築、運用監視・障害対応に至るまで一貫して対応できる技術力を備えていることを強みとしています。アクセス集中の課題解決に取り組んだソリューションの提供実績も豊富にあります。

例えば、社会貢献活動を展開する公益財団法人日本財団では、イベントサイトのインフラとしてAWSを採用することに決定し、システム開発を進めてきました。そこで課題となったのが、想定以上のアクセス集中が発生したとしても、Webサービスの提供が不能にならないようにする対策でした。イベントサイトの公開が1カ月後に予定される中、この対策を素早く実行する必要があり、NHNテコラスへ構築・運用の依頼がありました。
そこでNHNテコラスでは、アクセス集中があってもサービスが停止しないように、サーバーを再起動せずにAmazon EC2のスペックを変更できる設定を実施。同時に24時間365日体制で監視・障害対応を行う「C-Chorus マネージドサービス」と「プロフェッショナルサポート」の併用し、安定した運用を実現しました。

次に、音楽番組専門チャンネルを運営・配信する音楽エンタテインメント企業のSNS事例を紹介します。同社では、SNSでの情報拡散によってグッズ購入やプレゼント応募、番組動画視聴などが利用できる会員制サイトを運営しています。
昨今のSNS利用の拡大により、インフルエンサーが同社サイトのツイートをSNSで拡散したり、話題のアーティストによるツイートを見て大勢のファンが一斉にリンク先である同社サイトにアクセスしたりと、しばしば瞬間的なアクセス集中が発生し、遅延や停止が起きていました。
そこでサービス基盤をAWSへ移行するとともに、アクセスが集中した際にWebサーバーを自動的にスケールできるようにNHNテコラスへ依頼しました。NHNテコラスでは、Amazon EC2やAmazon RDS、ロードバランサーであるALB(Application Load Balancer)などを用いて、アクセス集中を検知した際に自動でスケールアウトできる仕組みを構築。Webサーバーのスペックや台数、アクセス集中時に増やすサーバー数、さらにアクセス集中が収束したときに順次戻すという仕組みになり、遅延・停止の回避とコストの削減を両立した運用が実現しました。

このようにWebサービスの構築をNHNテコラスにお任せいただければ、アクセス数の増加に合わせてスケールできるWebサービスのインフラ設計により可用性・耐障害性を高めることが可能になります。
AWS導入・移行支援サービス

また、アクセス増により肥大化しがちなコストの削減・最適化に有効なのが「C-Chorus リセールサービス」です。リセールサービスは直接契約よりもAWSを割引料金で利用できる、初期費用・手数料無料の請求代行サービスで、さらにAWS技術サポートとクラウド保険が付帯しており、手続きだけで簡単かつ無料でコスト削減を実現します。さらにリセールサービスを利用するとAWS のベストプラクティスに従ってリソースをプロビジョニングするのに役立つ、リアルタイムのガイダンスを提供するAWS Trusted Advisorも利用でき、使用されていないリソースやアイドル状態のリソースの除外、リザーブドキャパシティの利用推薦など、利用状況に合わせたコストの最適化方法の提案が可能です。
Webサービスのアクセス集中にお悩みのお客様は、ぜひNHNテコラスにご相談ください。

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