「クラウドコンピューティング」という言葉をよく耳にするようになりました。現在では企業規模の大小、業種や業務を問わずクラウドが利用されるようになっています。そのクラウドコンピューティングの代表的なサービスであるAWSは、世界では売上でトップシェアクラスのユーザー数を誇るサービスです(米調査会社のガートナー2020年8月発表、2019年の世界シェア45%)。AWSを利用してクラウドコンピューティングへ移行することでどんなメリットがあり、その活用のポイントがどこにあるのかをご紹介します。
クラウドコンピューティングのメリットとAWSのさらなるメリット
クラウドコンピューティングの特性について整理し、AWSのメリットをまずは見ていきましょう。
クラウドコンピューティングとは
以前はサーバーを自前で購入し、システム構築して管理までしなければなりませんでした。これをオンプレミスタイプといいます。このオンプレミスタイプはまだまだ日本では主流とはいえ、クラウドでシステムの一部を利用する動きが強まってきています。クラウドコンピューティングとは、インターネット上のハードウェアやソフトウェアなどのシステムを、不特定多数に貸し出す事業者のサービスを活用したITの運用を意味します。キーポイントは、「買う・作る」から「借りる・利用する」に変わったということです。
クラウドコンピューティングのメリット
ITシステムの調達を自前のオンプレミスで行うと、設計、パッケージソフトウェア等の選定、協力会社への依頼、構築、事前テスト、実施後の修正など、かなりの手間や費用がかかります。買ったり構築してしまったりしたものは資産ですので、コスト面を考えてできるだけ長く使おうとします。ところがビジネス環境の変化が早い現在では、古いシステムの継続利用が、戦力という面ではマイナスになりかねない状況になってきました。
そこで、「必要なときに、必要なシステムを、必要なだけ借りる」というAWSの考え方が時代に合ってきたわけです。そんなクラウドサービスのメリットは以下のとおりとなります。
- 早く構築可能
すでにあるものを利用するのが基本のため、立ち上がり期間を極力短くできる。 - 変更が容易
利用目的の変更等は、利用サービスを変更するだけですむ。 - 少ないスタッフで運営可能
クラウドサービス事業者がシステムのメンテナンスを担当。自社のメンテナンススタッフは少なくてすむ。 - 災害対策
本社やシステム部門が災害等でダメージを受けてもサービス業者が被害の範囲外ならばシステムが利用できる。利用するサービスを分散させるなどでリスク対策にもなる。 - 変動費での計上
クラウドは利用料なので、自前のシステムのような資産を償却していくものではなく、利用料がそのまま経費として計上できる。 - オンプレミスとの併用が可能
すでに構築されているオンプレミスの環境に合わせ、サービスを補完的や主体的に併用できる。
AWSの強みとユーザーの利用価値
冒頭で述べたとおり、AWSは世界でもトップの利用者数を誇ります。セキュリティや法規制への対応も、専門のスタッフがいて、常に対応しています。オンプレミスの場合、社内のIT部門が、セキュリティの脆弱診断、ホールの発見とパッチワークなどをこなさなければなりません。それでも、最新の脅威への対策は遅れ気味になってしまうのが実情です。
AWSは利用者が多く、各国の利用者からの声に耳を傾け、世界のITの流れを常にウォッチしているので、新しいサービスの提供力にも優れています。利用者が多いために、それらの収益から新しいサービスが生まれるのですが、AWSは値下げによる利益還元も欠かしていません。利用者が増えるほど価格に転嫁されるというITサービスならではの強みです。
AWSへの移行方法
では具体的にAWSを利用するために、どのように移行すればよいのでしょうか。
移行への基本的な考え方
メリットは理解できても、いざAWSの利用や移行となると、考えこんでしまう担当者がいるのは仕方がないかもしれません。移行や運用への不安、仕事が増えるかもしれないなどいろいろと心配になることもあるでしょう。しかし心配は不要です。前述した「必要なときに、必要なシステムを、必要なだけ借りる」という意識で充分なのです。季節や業務の繁閑により扱うデータ量が変動する場合などは、サーバーのスポット利用や、新規に必要なシステムをオンプレミスではなくAWSで利用することなどからはじめてみてもよいでしょう。
重要なデータ移行は?
蓄積し、日々発生している重要なデータをどこで移行するかも、大いに気になるところかもしれません。当然ですが、どの企業ユーザーも最初は自社のデータをAWSへ移行することからはじめます。問題なくそれらが行われている背景には、AWSではAWS Database Migration ServiceやAWS Snowballなどのデータ移行ツールをしっかり準備しているからです。適宜利用することで、安全にデータ移行をすることができます。
AWSへの移行の際の大切なポイントは?
それでは、AWSへの移行について、もっとも重要なことから整理していきましょう。
コストばかりに目を向けない
利用料は毎月経費として発生します。だからといって、導入を中途半端にしてしまうと、クラウドの導入効果を損なうことになりかねません。AWSによるIT処理の追加や変更により、どのような事業へのプラス効果が期待できるか、ミニマムなコストで、最大のパフォーマンスを発揮するポイントを探る努力も必要です。
経営者や関連部署の責任者の理解
経営者や経営層が主にコスト面で疑問を呈することを想定し、事前に導入プランや導入効果について説明材料を用意しておきましょう。サービスの利用に関係する社内のエンドユーザーやその責任者とのコンセンサスも忘れてはなりません。特に経理や総務など基幹系のシステムと関連が深い部署とは、連携を密にしたいものです。
AWS利用は戦略的に
最新のシステムを短期導入で効果的に利用することを考えて、戦略上、重要なものから導入していくこともありえます。現状のビジネスやオフィスのワーク環境の改善、生産力や売上拡大の到達点を見据え、そこから逆算するように導入プランを考えてみましょう。
パートナーの選定
事前に充分に計画をしても、想定外のことはしばしば起きるものです。そのようなときを考え、AWSに関する導入の相談相手としての外部パートナーと連携するという方法もあります。豊富な事例があり、専門のサービススタッフが配置されているので、自分たちでは解決できない問題への対処や、新しいアイデアの獲得など、戦略的な利用の手助けとなるパートナーの選定は重要です。
AWS移行支援サービス
クラウドだからチャレンジができる、それが大切
テスト導入も含め、「利用」だからこそチャレンジしやすいのがクラウドであり、その代表的存在がAWSです。サーバーの「購入」よりリスクが低いことを認識し、AWSへの移行にトライしてみることからはじめてみませんか。
これからクラウドへ移行を検討・実施される方にオススメ!
3大パブリッククラウドの特長比較やオンプレミス環境からの移行方法など、クラウド移行でまずは押さえておきたいポイントをご紹介します。